迫りくるその時

2012.05.26.Sat
「退院したお母さんの手術痕の痛みがまだあるから、用事をきいて午前中にお母さんの家に行かなくっちゃ」

「今日はポリープを取ったお義姉さんが退院だけど、〇〇ちゃんがお迎えしてくれるから病院に行かなくていいんだって」

「二人揃って入院するなんて、仲良しだね~」

「そうだ!今日はスーパーの週一の売り出し日、あとで広告チェックしなきゃね」

その日の、たあいない予定をみんにゃに話かけながら

聴いているようで聴いていない、みんにゃの不思議そうな顔に見惚れながら

いつものように朝の時間がが過ぎてゆきました。




3時頃帰宅すると、

「お帰り、だっちゅ」と、眠気眼で迎えてくれる

いつものように・・・・ふつうに・・・・




猫がたくさんいるようには思えない、我が家の静かないつもの午後

ただただ、刻々と迫るその時までは・・・・・・






じょじょに西日が射してくるリビングを眺めながら、キッチンに立ちコーヒーを沸かしながら

穏やかに静かに流れる午後のひと時

いつものように・・・・ふつうに・・・・






私のおやつを

「なに美味しい物食べてるの?」と、見つめるグレ美

グレ美はいつも美味しい物には目がなく、必ずひとり横で待っているいつもの光景

ずーっと、静かに待っています。

食べている途中に私が席をはずしたら、

「あら、コレ食べちゃうわよ」っていう目をして私を見つめます。

ヨーグルト、生クリーム、カスタードクリーム、プリン、大好きでした

練り製品も好きでした、ちくわなんて大好き

もちろんどれもにゃんずの身体にはいいものではないから

舐める程度しかあげませんでしたが

こんなことなら、いっぱい・・・お腹いっぱいあげたらよかった






缶詰の食事が貰える頃の夕暮れ迫る時間帯にキッチンに私が立つと、

つかさず後をおってくるみんにゃ

もちろんグレ美もその中に。

「ちょうだい、早く缶詰ちょうだい」

みんにゃの声がキッチンに響きます。

「ハイハイ、ちょっとまってね~」、なんて言いながら、ワクワクしているみんにゃの顔を背中に感じる歓び

みんにゃが集まって、それぞれの器で食べる大好きなごはん

それを眺めつつキッチンでゴソゴソする私

それぞれに満足しながら、トイレに行ったりグルーミングしたり

みんにゃが集まるのはやっぱりリビング




私はみんにゃのトイレの掃除をしながら、食べた器をかたずけながら・・・・・・

いつものように・・・・ふつうの時の流れ

私は頭で考える事なく自然にいつもの動作をこなしてゆきました。





残っているごはんを器に寄せながら、フト思ったのです。

一度、みんにゃが解散した食事処に

必ず戻ってくるグレ美の姿がない?



でも、そんな思いもすぐにかき消されてしまって心に残りません。

再び戻ってきて、口を動かしたイートンとアントニーの背中を眺めているだけ。






リビングから目を離したのはものの数分です。

私がリビングのソファめがけて歩いてきた視界に

手足をこちら側に、あちら側にパタンと寝ころんでるグレー猫のおシッポのすぐ傍で

それを見つめるように黒猫(ラッセル)が香座りしている感じの光景が

なんとなく視界にはいりました。  なんとなく・・・・・・・



よーく考えると不自然なのです。

あの気高いグレ美が食後すぐに寝ころんで、ラッセルを傍に近づけるはずがないのに。




まったく気にかける事無くソファに腰掛けると

自然と飛び込んできたハッキリとしたグレ美の異変

グレ美!グレ美! 何度も叫びながら

人工呼吸に心臓マッサージ

なんども、なんども繰り返し繰り返し

涙なんて出ません

身体も震えません

頭の中は真っ白になるどころか、しなければならないことが次から次へと頭の中を埋め尽くします。




なぜか、

とても冷静で沈着で

この事態をどこか違う場所から視ているような私。





呼び声だけが虚しく響く、みんにゃが一番大好きなリビング




グレ美が再び戻ってくることはありませんでした。

グレ美、最後の写真

亡くなる前日の夜に撮ったこの写真が最後になるなんて考えもしなかった。





虹の橋のたもとに旅立ったグレ美のことは
また、先にします。
ごめんなさい。